菜のくろむし

11月の中旬、下旬。
畦に、ちいさなまっくろイモムシがいました。
みると、きまって2種類の畦草の葉のところだけにいるのです。
なんでかな? しらべてみよう。

いもむしの身体と、食べている草で、観察していきます。

d0021152_3142756.jpgこちら、
全身まっくろで、つんつるてん。
タネツケバナ(アブラナ科)を
食べている。

Answer
「カブラハバチ」  
ビロード状なのが特徴。

d0021152_3141261.jpgこちら、
全身まっくろで、ちといぼいぼ。
イヌガラシ(アブラナ科)を
食べている。

Answer
「ニホンカブラハバチ」
わずかにいぼ状の突起がある


全身まっくろ、ちといぼいぼ。寒さにあたって、赤くなったタネツケバナ。
触ってみると、ポトリ。しんだふりをしてました。なんだかかわいい。
こちら、「ニホンカブラハバチ」
d0021152_3144249.jpgd0021152_3145848.jpg

他には、仲間として「セグロカブラハバチ」がいる。
こちらは、その名の通り、背に黒い筋があるのが特徴。

カブラハバチの幼虫は、全身が黒色。
「カブラ」と名が付くだけあって、ダイコン、カブ、アブラナなどが食草。
アブラナ科の植物の葉を食べる。
「ナノクロムシ(菜の黒虫)」とも呼ばれる。

検索で調べてみると、案の定、
ダイコン、カブなどのお野菜の「害虫」とされ、やっつける対象の虫。
他の虫と比べたら、そんなに被害が大きくないけれど、
おすすめの農薬がズラリ...

だけど、畑みたいにぜ〜んぶきれいに一列に、
大好きなアブラナ科が並んでいるんだから、
「菜のくろむし」にとっては、畑はてんこ盛りのごちそう。
来るのがあたりまえ。



そういう意味でも、こうしてまだ小さい、田んぼの畦草にやってきて、
天然のアブラナ科を探して辿り着いた、
「菜のくろむし」に、「食べていいよ。」っていいたくなります。

カブラハバチとセグロカブラハバチは、春に2回、
ニホンカブラハバチは、1回発生する。
3種とも、夏は幼虫態で、土中の繭の中で経過。秋に1回発生する。
冬はまた幼虫態で、土中の繭の中で越冬する。

ハバチの仲間は多い。原始的なハチで、毒針はもたない。
世界では北半球を中心に百数十属6000種以上。
日本産は約109属500種以上。

そうして、調べていくと... 
この「カブラハバチ」のミラクルな特徴を知りました!

カブラハバチの成虫は、天敵(捕食者)から身を守るために、
不快な味や臭いを発する物質を、植物から摂取するのだそうだ。
知られているのは、カブラハバチ属による、
クマツヅラ科の「クサギ(臭木)」の幼葉の毛茸(もうじょう)に含まれる
ジテルペンの一種、クレロデンドリン(clerodendrin)の摂取。
クサギの花外蜜腺の蜜の摂取も観察されている。
そして、実験では、
クサギの腺毛状突起を摂食した個体の成熟卵の増加傾向が明らかとなり、
生殖能力を高める、配偶行動を生じさせる役割があるという。
(さらに検討する必要があるとのこと)

「菜のくろむし」は、「クサギ」のミラクルパワーを知っていて、
享受しているのかもしれない。 すごいゾ! 菜のくろむし!

d0021152_4572878.jpg

そうして、ちゃんと、
田んぼの水路の脇には、
クサギがあったりする。

「クサギ(臭木)」
クマツヅラ科

田んぼの畦に来た「菜のくろむし」は、
クサギのミラクルパワーを、その身に蓄え、臭いプンプン守りながら、
この畦草を食べているのかもしれない。
人から身を守るため、しんだふりもしながら...

緑の草のなかに、まっくろな色はとても目立つ。
だけど、もう内に秘めた身を守る術を保っているから、
きっと大丈夫なのだ。
[PR]
by tutinokai | 2006-11-13 13:04 | いのちの環
<< ハートのかたち 小グモの日常 >>