カテゴリ:田んぼの生物( 87 )

ゾウさんの一生

稲水象虫(イネミズゾウムシ)の一生を調べてみました。

稲水象虫は、アメリカからの侵入害虫。
1975年に愛知県で発生確認。現在は全国区。
元は湿地のイネ科、カヤツリグサ科の草に生息していたが、米作の普及で害虫化した。

天敵は子守蜘蛛。蜘蛛は、田んぼ(稲)を守ってくれる益虫です。

d0021152_1426160.jpgまずはおさらい。
「稲水象虫(イネミズゾウムシ)」
象のような鼻の長い口を持ち、
稲につくのでこの名がついた。

稲象虫と、稲水象虫がいる。
稲象虫 → 山間の田んぼ。泳げない。
稲水象虫 → 平地の田んぼ。泳げる。


ゾウさんは、畦や、雑木林などの枯れ草や落ち葉の下で成虫で越冬するのだそうです。
そして、春(4月下旬〜5月上旬=田植え前)に、越冬していたゾウさんたちは活動開始。
イネ科の雑草(ネザサ、チガヤ、ススキなど)の新葉を食べ始め、
田植えが始まると、いよいよ田んぼに引っ越してきます。

d0021152_14134814.jpgゾウさんは、やわらかい若い葉が大好きなので、
苗代の苗は大好物。
苗代は大にぎわいです...
苗が小さい分、
田植え後すぐの食害の跡は目立ちます。

       (photo / ゾウさんの食害痕)
d0021152_15421513.jpg



そうして、
稲など約2週間もりもり食べると、
越冬ゾウさんの産卵が始まります。

産卵は1ヶ月から2ヶ月。
水面下の稲の葉鞘内に1個ずつ卵を産み付ける。
1日に1,2個ずつ、1頭あたりの産卵数は50個。

d0021152_1414856.jpg孵った幼虫は稲の根の内部を食べてしまう。
ゾウさんの害虫たる理由は、
早苗の越冬成虫による葉の食害と、
この幼虫による根の食害。


(photo / 葉っぱの上に浮かぶゾウさん →)

(photo / 雨水の雫に包まれたゾウさん ↓)
d0021152_14143235.jpg幼虫は4齢を経て、稲の根に土繭をつくる。
発育日数は約、卵7日/幼虫30日/蛹7〜14日。

そうして新成虫ゾウさんは7月中旬頃より出現。
しばし稲株で過ごし、
成長の遅い葉(=やっぱり若い葉)を食べる。

8月下旬にはまた、越冬場所への移動し、
雑草を食べたのち、休眠に入り越冬する。


ゾウさんは、お米そして、稲作のサイクルとともに、生きていることがわかりました。
田んぼにいる生きものたちは、みんなそうです。
ゾウさんは、害虫さん。
だけど、いろんな生きものたちと一緒の田んぼがいいね。

「食うか、食われるか」土の会2005.6
[PR]
by tutinokai | 2007-06-10 14:06 | 田んぼの生物

おたまのおなか

水が張られた「水田」で、オタマジャクシは育っています。

田んぼに卵を産む、また成体のカエルでよくみかけるのは、
シュレーゲルアオガエルとニホンアマガエルです。
このオタマジャクシは、目の位置から、シュレーゲルアオガエルと思われます。
(ニホンアマガエルのオタマジャクシは目がもっとはなれている)

オタマジャクシは、みていると、
田んぼのなかで、藻(=植物)を食べていたり、時には共食い(=動物)していることも...
オタマジャクシは植物食であること、雑食であることがわかります。

d0021152_196436.jpgd0021152_1962494.jpg


d0021152_1964334.jpg
写真では見づらいですが、
オタマジャクシのおなかは
ぐるぐるとなっています。
赤くみえるのは心臓です。

これは食性が植物食が中心だからです。
人間も雑食。人間の腸もぐるぐる。
人間と同じです。

d0021152_197751.jpg
あと一週間もすると、足がでて、手がでて...
カエルになります。

オタマジャクシはカエルに変態して、
虫を食べる、完全動物食になります。
食性が変わるのです。


田んぼで変態したとき(手足が出て、エラ呼吸から肺呼吸にかわるとき)、
陸地(畦)また稲がないと、おぼれてしまいます。田んぼはちょうどいい♪

そして、成体カエルになると、山で暮らします。
田んぼでカエルになりたてのときから、山暮らしのなかで、
ヘビなどに食べられるキケンが待っています。
そうやって食べられてもゆくオタマジャクシ...

また春、この田んぼに卵を産みに戻ってくるのは1/2000です。


「いのちの誕生」土の会2007.5
[PR]
by tutinokai | 2007-06-10 14:00 | 田んぼの生物

イトトンボの羽化 〜苗といっしょに育ってく〜

土の会4番田んぼではないですが...

すべての田んぼの田植えがおわり、のこるは苗代にしていた田んぼです。
苗代はかたづけです。
伸びてきた苗に、たくさんみつけました。

d0021152_22404727.jpgイトトンボのヤゴのぬけがらです。
たくさん。たくさん。

d0021152_2241861.jpgアオモンイトトンボ
(青紋糸蜻蛉)のヤゴか
アジアイトトンボ
(亜細亜糸蜻蛉)と
思われます。

トンボは田んぼで
育つということを
実感します


春に田んぼに水が張られると、成虫が飛んで来て、
生きている植物の葉や茎、抽水植物(※)などに産卵する。

卵から孵った幼虫(ヤゴ)は、ミジンコなど小さな生きものを食べて育つ。
そして、田んぼの苗をのぼっていって、その年の夏に羽化してゆく。
「田んぼ外越冬型」のイトトンボです。

d0021152_22412442.jpgイトトンボは、苗とともに育っているのですね。

※抽水植物
=水生植物のうち、水底に根を張り、
 茎の下部は水中にあるが、
 茎か葉の少なくとも一部が、
 水上に突き出ているものをいう。

 稲も抽水植物だ!

d0021152_22415350.jpgヤゴのぬけがらの近くの苗に、
とまっていたイトトンボです。
羽化したばかりのようです。

ちなみに、羽化してだいたい1日以内の
体が白っぽい未熟な個体を「テネラル」とよぶそうです。

アジアイトトンボ(亜細亜糸蜻蛉)と
アオモンイトトンボ(青紋糸蜻蛉)は
とってもよく似ています。

アオモンイトトンボのメスかな??


大きさは、 アジア < アオモン

10節あるうちの腹部の青色の場所のちがいで区別できます。
アジアイトトンボのオスは、腹部第9節全体が青色。
アオモンイトトンボは、腹部第8節全体が青色。

メスは、また違います。腹部第1節の背面で区別します。
アジアイトトンボのメスは、黒色。
アオモンイトトンボのメスは、淡い色。

ややこしいところは、
アオモンイトトンボのメスは、オスと同じ同色型もいるということ。(同色型と異色型)
アジアイトトンボは、淡緑色の異色型のみです。

そして、両方のメスは、橙色から緑色に変化します。

d0021152_23292439.jpgということで、
←未成熟のメス
(photo / 土の会2006.8)


今年も、
いっぱいのイトトンボと出会いながら、
見分けられるようになれるといいな。
[PR]
by tutinokai | 2007-06-09 13:40 | 田んぼの生物

田んぼカモさん 2007

d0021152_20465977.jpgさっそく
カモさんも登場です。

水の張られた田んぼを
スイスイと泳いでは、
口ばしを水のなかに突っこんで
ごはんを探しています。

カモさんおとなりの田んぼを散策中。4番田んぼも水を張ったよ。遊びに来てね。

d0021152_20471357.jpgd0021152_20472515.jpg
[PR]
by tutinokai | 2007-05-20 16:23 | 田んぼの生物

待ってました!水田

d0021152_20243092.jpg田植えを心待ちにしてたのは、
私たちだけではありません。

小さな水たまりでも
一番にやってきていた
アメンボ。

d0021152_20272377.jpg



わずかな水分を求めて
乾田のあいだを過ごした
ドジョウ。

d0021152_20315680.jpg
泥に地図を描くのは
(歩いた跡)
これから、活発に動き出す貝たち。

水のなかで過ごして、
これから生えてくるコナギ(水田雑草)に
卵を生むサカマキ貝、モノアラ貝。

d0021152_20394163.jpg
いち早く、田んぼにやってくる
シオカラトンボ。
たくさん飛んでいます。

これから恋の季節を迎え、
成長していく稲に卵を生みます。

d0021152_20352071.jpg水の張った田んぼで、
どんどん個体数を増やし、
田を豊かにしてくれる
食物連鎖の縁の下の力持ちである
ミジンコなどのプランクトン。

水田になって、
たくさんの生きものたちも、
活動開始!です。
[PR]
by tutinokai | 2007-05-20 13:23 | 田んぼの生物

象さんもいっしょ

d0021152_19581580.jpg稲につく虫のなかで、
田植えの頃にいちばん目立つのは
このイネミズゾウムシ(稲水象虫)。
苗代にたくさんいました。

鼻が長くて、その名のとおりゾウみたい。

ソウさんも苗と一緒に
4番田んぼにやってきちゃいました。
[PR]
by tutinokai | 2007-05-20 10:20 | 田んぼの生物

いのちの誕生

d0021152_1504290.jpg田んぼの泥を平らにして、
水を入れてゆくときに、
土のなかにいた、
カエルはちとあわてた様子です。
土の塊がかさなる隙間に暮らしたカエル。

恋の季節を迎え、
今年も私たちの田んぼに
次のいのちを託してくれました。

d0021152_1521622.jpgシュレーゲルアオガエル

3月のおわりから6月くらいまで
コロコロコロ...かわいい声で鳴いている

3月、4月の声は
母さん、父さんたちの声。
6月頃は、きっと孵った
子どもたちの声もあるのでしょう。

泡あわの卵を田んぼに産んでひと安心の親カエルたち。
畦に上がったシュレーゲルアオガエル。畦道の向こうの水路に移動かな。

d0021152_15318100.jpgd0021152_1541471.jpg

d0021152_1553597.jpg綿アメみたいな
シュレーゲルアオガエルの卵塊

いくつかの卵をみることができました。

代かきをして水が張られて。
畦土から、どんぶらこ。
おたまちゃんが孵る頃になりました。

d0021152_1561948.jpg泡はこうしてちぎれて孵化してゆきます。

写真の右上には、クモが...

ああ、いのちってきびしいなあ。

卵塊には100から300ほどの卵。
大人になってまた田んぼに戻ってきてくれるのは
数匹...

d0021152_1564325.jpg泡のなかの小さないのち。
オタマさんの誕生です

水の張られた田んぼのなかに、
巣だってゆく赤ちゃんたち。
そこは、
食べたり、食べられたりの自然の世界でもある。

さあ、ガンバッテ!


こちらは、ニホンアマガエル。顔の黒いラインがめじるしです。
↓すいすいカエル           ↓でぶっちょガエル
d0021152_16195254.jpgd0021152_16203917.jpg

d0021152_16212685.jpg←手のりガエル

ニホンアマガエルの声は、グワグワグワッ...
夕方や、雨の日の声を聴いていると、
シュレーゲルアオガエルよりも
多くいるようです。

ニホンアマガエルも、
田んぼに100から500こ位の卵を産みます。

d0021152_16214766.jpg細いゼリー状なかに卵があって、
水草などに、からみつくのだそうです。

シュレーゲルより目立たない卵の生態。
みたことがないのも頷けます。
草とりも気をつけてやらなくちゃ。


田んぼでたくましく育ってね、デメタン。
[PR]
by tutinokai | 2007-05-13 16:53 | 田んぼの生物

たくさんのいのちが生きる場処


代かきは、水を入れ、泥を細かくして田植えの準備。
乾田から水田へ。
びっくりどっきりの生きものたち。

d0021152_051399.jpgオケラったった
オケラは、畦土へ移動します。
オケラは、体の毛に空気をためて
つるっと浮かび、
じょうずに泳ぎます

d0021152_123967.jpg




ミミズも畦土に
移動します。
稲刈りあとの乾田の土を
良い土にしてくれました

d0021152_192842.jpg
待望の水が入りました。
丸タニシ。
乾田では、中の湿った土にいました。

d0021152_1131186.jpg





アメンボは、
乾田はその羽根で飛んで移動します。
水田になると水面をスイスイ移動します。

アメンボの大敵は、界面活性剤の含まれる水。
舞岡公園の田んぼは湧き水で、無農薬。
安心して水面を泳げます。

アメンボをみることができる恵みの水。

コモリグモ。
卵(右)が孵ると、そのままそこで子どもたちを背負っています。子守ってる蜘蛛。
水陸両用のコモリグモ。すばやく田んぼを駆け回っています。

d0021152_127142.jpgd0021152_1272816.jpg

田んぼは、人工の湿地。
田んぼのなか(水田)は、水が好きな生きものたちが住む場処。
畦際は、湿った土が好きな生きものたちが住む場処。
畦上は、乾いた土が好きな生きものたちが住む場処。
いろんな条件が揃う、接縁(エッジ)には、たくさんの生きものたちが住みやすくなる。
田んぼは、たくさんのいのちが生きる場処。
[PR]
by tutinokai | 2007-05-13 15:52 | 田んぼの生物

食草

d0021152_12333698.jpg畦で発見。
目立ちますおっきな幼虫。

アヤモクメキリガ(ヤガ科ヨトウガ亜科)

(たぶん)チョウジタデにいました。

調べてみると、幼虫の食草は、
バラ科、マメ科、ナス科、タデ科とありました。

d0021152_12335157.jpg
生きものにはそれぞれ好きな食べるものがある。

畦には、
いろいろな草があります

いろんな草があることは、
いろんな生きものがいられるということ。
[PR]
by tutinokai | 2007-05-13 15:49 | 田んぼの生物

蜘蛛の子を散らす

d0021152_1472513.jpg
背高く伸びたヒメジョオンの茎に、
蜘蛛の巣が張られています。
蜘蛛の巣に、
ハルジオンのわたぼうしがひっかかっています。

よーくみると、
!!!衝撃映像。うぎゃー。


d0021152_0524594.jpgd0021152_054340.jpg

「蜘蛛の子を散らす」実写版

d0021152_0531386.jpgd0021152_0533488.jpg


「蜘蛛の子を散らす」
=蜘蛛の子の入っている袋を破ると、蜘蛛の子が四方八方に散らばることから、
 大勢の者が散り散りに逃げていく様をいう。

さいしょ、何かなー?と思って、身をのり出すと、たくさんの蜘蛛の子。
びっくりして思わずしり込みましたが、地面に伝わる振動で、
パァーッと蜘蛛の子が散ったのにも、びっくりしました。
しばらくすると、また一カ所に塊になってました。
「蜘蛛の団居(まどい)」というそうです。

アブラムシなどを補食しながら、子グモたちは育ち、
「蜘蛛の子を散らして」各ポジションに着き、準備OK。
風が吹いたら、お尻から糸を出して、空へふわり。(「バルーニング」という)
もうすぐ、春風にのって、子グモたちは、この畦から旅立つのでしょうね。
[PR]
by tutinokai | 2007-05-12 16:22 | 田んぼの生物