カテゴリ:いのちの環( 57 )

食物連鎖のもと 〜緑の宝石〜

田んぼに、緑の藻が浮かんでいます。
今年は藻が多いようなので、稲の日照不足が心配なので、網で取ることにしました。

d0021152_605967.jpg...が、藻ってなんでしょう??
緑藻。植物プランクトン。
「サヤミドロ」という藻のようです。

田んぼ一面に広がり雑草を抑えたり、
田んぼの肥料として
はたらいてもくれるのです。
農薬を撒く田んぼには藻はありません。


アオミドロ、ミカヅキモ、ボルボックス...
あたたかくなった水のなか、小さな小さな生き物たちが生きています。

d0021152_22413861.jpgみていると、
藻にはたくさんの小さな生き物が
集まっているようです。

網ですくったなかには、
ヤゴもたくさん捕まりました。

田んぼに無数の生き物たちを育む緑。


この動植物・微生物たちが、安全の証明でもあり、
自然の肥料となり、病害虫の防護にもなっているのでした。

d0021152_22351487.jpg藻からプツプツでている泡は酸素。
光合成により、
酸素をどんどん作り出します。
藻には水質浄化能力もあるのでした。
藻をミジンコなど小さな生き物たちが
食べます。
そして、ミジンコをまた食べる
生き物たちがいて。
藻は、食物連鎖の「もと」でした。


参考TV ミクロワールド「緑の宝石 ボルボックスの秘密」NHK
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by tutinokai | 2006-07-09 10:59 | いのちの環

トンボ田ものがたり

d0021152_22299.jpg田植えから1ヶ月。初夏の田んぼ。
この時期なので、
赤トンボ(秋アカネ)のヤゴと思われます。
稲刈りの後の田に、
産みつけられた卵が、
水を張られた田んぼで孵り
初夏、巣立っていきました。

d0021152_0373230.jpg
暑い夏を涼しい山で過ごし、
秋の田に戻ってくるといわれています。

稲刈り後の、赤トンボの飛ぶ景色は
ニッポンの美しい景色、懐かしい景色。
トンボのいることの豊かさ。
            photo / 2004.10
d0021152_1212838.jpg

こんな昔話を知りました。

 むかし、ある村に、
トンボ田と呼ばれている田がありました。
田植えが終わって、暑い夏がくると、
トンボ田にはいつも赤トンボが
いっぱいに舞い飛んでいました。
トンボ田では、まわりのほかの田んぼと違って、
ウンカという大害虫が発生して、稲を枯らしてしまうことなんてありませんでした。
 ある年のこと、梅雨になっても雨が降らず、ウンカが田んぼに飛んできません。
お百姓たちは言いました。
「雨が少ないのは困ったものだが、ウンカがやってこないのはせめてもの幸いだ。」
トンボ田のお百姓は怒りました。「馬鹿を言うんじゃない。
ウンカが飛んでこないと、大変なことになるぞ。ウンカは田んぼのこやしなのに」
ほかのお百姓たちは笑いました。
その年はウンカの被害もなく、米は豊作でした。
「トンボ田さんは心配しすぎだよ」そう言われて、トンボ田のお百姓は黙りました。
 次の年になりました。順調に雨が降り、田植えも終わりほっとする間もなく、
ウンカがびっくりするほど飛んで来ました。
やがて、村の田んぼが、ウンカの大発生で、どんどん枯れていきました。
「どうして今まで一度もウンカでやられたことのなかったトンボ田までも、枯れたんだ」
とみんなはささやきました。
d0021152_0362060.jpg トンボ田のお百姓は言いました。
「去年、ウンカが飛んでこなかったから、
ウンカを食べたりする益虫や、ウンカに
寄生する益虫が死に絶えたのだろうな。
トンボもエサがなかったから、
減ってしまった。だから今年は
ウンカだけがすくすく育つ田んぼに
なってしまったんだ。」
まわりのお百姓はうなずきました。
「そう言えば、夏虫はこやしになる、
と言われていたのは、このことだったのか」とため息をつきました。
 それから、みんなで、虫たちが増えるようにと努めたのですが、
トンボがもとように飛び回る田んぼになるまでに、五年の年月がかかりましたとさ。


  参照文献:「田んぼの学校 入学編」宇根豊 著 企画/農村環境整備センター(農文協)

土の会white 2005.6
「自然のバランス」 「ヤゴvsオタマジャクシ トンボvsカエル」 「赤とんぼの唄」
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by tutinokai | 2006-06-25 13:45 | いのちの環

ミクロの世界 〜田んぼの土台〜

田植えのあとの田んぼです。
田んぼに張られた水のなかをのぞいてみます。
じいっとみていると見えてくる生き物たちがいます。

1ミリの世界の小さな生き物たち。
目がなれてくるとたくさんいるのがわかります。

ミジンコは「微塵子」。小さな甲殻類、プランクトンです。
貝ミジンコとマルミジンコと思われます。
d0021152_2055435.jpg
植物性のプランクトンを食べる動物性プランクトン。
食物連鎖のさいしょの生き物。
田んぼの土づくりをしてくれています。
ミクロの世界を知ると、ぐっとマクロに広がってゆきます。

d0021152_21541154.jpgイトミミズ。
ミミズは水を張った夏の田んぼにはいません。
きっと、畦の土のなかに避難中。
夏の田んぼのミミズはイトミミズ。

水底の土の小さな穴から、
赤い糸状のものをひらひらと揺らしています。
頭は土の中に。みえているのは尾の部分です。


尾から吐き出した土はトロトロで、きめ細かい土の層をつくり、
雑草を生えにくくしてくれます。
また、有機物を分解して、稲などが吸収しやすい養分に変えてくれます。
小さいカラダで偉大なしごとをしてくれます。
そんな小さな生き物たちは、化学肥料によって減少します。
田んぼという自然を土台で支えてくれている生きものたちに
目を向けられる私たちでありたいものですね。

小さい生きものたちを「いただきます」の生きものたち
↓ヤゴ                   ↓オタマジャクシ
d0021152_22102469.jpgd0021152_2210436.jpg

参照文献:「ふくおか 農のめぐみ100」
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by tutinokai | 2006-06-01 13:53 | いのちの環

人とオオバコ

d0021152_024925.jpgオオバコ(大葉子:オオバコ科)

4番田んぼの畦道に
大きなオオバコ生えまして。

オオバコは、
農道など行き来の多い場所に
好んで生える植物。

なぜだろう オオバコが其処にいる理由

ひみつは、オオバコの種にある。
オオバコの種は、雨に濡れると粘液で包まる。
人の靴、車のタイヤなどに、種はくっついて運ばれていく。
雨ふりが多くなりはじめるこれからの季節。
おっきなオオバコ、種結ぶ頃。

人によって踏み固められた地面。他の植物が生えにくい地で成長できる。
ライバルも少ないワケである。

人の踏み跡に沿って分布を広げるオオバコ。
オオバコにとって、畦道と人は、なくてはならない存在なんだね。
オオバコの知恵。
植物ってすごい!
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by tutinokai | 2006-05-14 14:48 | いのちの環

鳥は豊かさのバロメーター

d0021152_13193610.jpg
田起こしのあと、
田んぼのなかを歩いています。
(4番田んぼではありませんでしたが...)

←アオサギ。
田んぼのご用事なあに?



春から夏へ
田の虫たちも、稲の成長とともに活気づく季節。
その虫たちを食べに来ているのでした。
田起こしをするヒトは、それにひと役かっているのかもしれません。

田んぼには、目にみえないようなミジンコのようなプランクトンから、
このアオサギへと至るまで、食物連鎖のピラミッドのすべての物語が存在します。
ヒトもその環のなかで生き物たちともちつもたれつ稲を育てる。

鳥たちの多くの種は、食物連鎖の頂点にいます。
その中でも一番上位にいるワシやタカ類(猛禽類)が、全国で減少しています。
コウノトリやトキは絶滅の危機に追いやられたのはなぜでしょう。

田んぼに散布された農薬が稲から虫へ、魚や貝へと濃縮されていき、
最後は鳥にまで及んだこと。
エサであるドジョウやタニシやカエルが激減したのが主な原因。
田んぼが生き物を育み、いのちの環が巡り、鳥を育てる。

  参照文献:「ふくおか 農のめぐみ100」

↓コサギ                  ↓カモさん
d0021152_22075.jpgd0021152_2283772.jpg去年は、コサギをみました。今年はアオサギ。カモさん、スズメ...
たくさんの鳥との出会いに、にっこりします。
「ひとつ」でなくて「たくさん」がいいね。

「アオサギ(青サギ)」
一番大きなサギで、青灰色。田んぼでは、主にカエルを食べている。
一年中みられる。他のサギよりも夕方遅くまで活動する。

土の会 white 「食物連鎖」2005.7
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by tutinokai | 2006-04-28 13:15 | いのちの環

百姓仕事が自然をつくる

春の田んぼはカエルの合唱。姿はみせねど、声はする。畦を歩くとぴたりと鳴き止む。
じいっとひそめて待ってると、田んぼはカエルの声にすっぽり包まれる。

田起こし田んぼ。カエルもあせる。三本鍬で起こした土。
生き物たちに今年もあえました。
d0021152_1582814.jpgシュレーゲルアオガエルの泡のたまご(卵塊)
土を起こすと出てきました。
畦の土のなかに白い泡に包まれた卵塊を産む。
孵化してオタマジャクシになると
田んぼの方に流れ落ちる。
田起こしの後は水を張り、代かき、田植え。
オアタマジャクシも泳げるね。
カエルくん、
田んぼのサイクルをよくわかっています。

d0021152_147278.jpg
ドジョウ
土にもぐっていたドジョウです。
産卵数は、4000〜2万個。
これは他の魚よりも多い数です。
それだけ、他の生き物にねらわれる危険が
多いということ。
ごはんはミジンコ。
ドジョウにとって、田んぼの土のなかの方が
水路よりも危険が少なく、
ごはんのミジンコもたくさんいます。
田んぼは、秋には水を抜く。困ったドジョウは水路へ向かう。
田んぼと水路。行き来できるということが、ドジョウを育むことができる田んぼです。

田んぼは、その自然環境に人の手を入れて作られた湿地。
湿地は、多様な生き物を育むことのできる場所。
「人工」の湿地(田んぼ)であっても、
稲の成長(人の利益)だけを追求し、周りをコンクリートで固めて整備をしたり、
農薬を使い、多くの生き物を排除するような場所にしなければ、
こうして多様な生き物が生きることができる。
生き物たちも、田んぼの作業にほぼ添って、そのいのちの環を維持している。

「百姓仕事が自然をつくる」
お金にかえられないかんじんなものがある。
その自然のなかに自分もいるということがわかったら、心あたたかになるでしょう。
心強くもなるでしょう。

  参照文献:「「百姓仕事」が自然をつくる」宇根 豊著 築地書館
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by tutinokai | 2006-04-23 10:24 | いのちの環

春のおとしもの

d0021152_16444455.jpg畦塗りをした田んぼに
さくらの花びらが舞い降りて

きれいだなあ 春だなあ

うぐいすの声 まだすこし肌寒い風

この桜の花びらも、土へと還る。
畦の花に、刈った田んぼに、稲の肥やしに。
巡りめぐって、ワタシに還る
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by tutinokai | 2006-03-19 15:40 | いのちの環

巡る春

d0021152_1563167.jpg
タネツケバナ(種漬花)の花が咲いています。
その名の通り、田んぼは種籾を水に漬ける頃。

植物の名前。
ただただ名前を覚えるだけではなくて、
こんなふうに
その言葉の意味に思い巡らせること。
なんだかとてもオモシロイ。


それと、
なんだかその名をつけた昔の人がすごい。

そしてそして、
ちゃんと季節を種のなかで待っている植物ってすごい。

巡る春。去年と同じ草花に逢う。
けれど、去年の草花とは違う。其処に在るのは、受け継がれた無二の草花。


タネツケバナのこと
「土の会」2005.4「田」の草花
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by tutinokai | 2006-03-19 14:45 | いのちの環

大地の虫 自然のクワ

堆肥と一緒に田んぼに運ばれてきたミミズです(たぶん)。
d0021152_3253987.jpg
田んぼには従来、
イトミミズ類が泥のなかに生息しています。
水を張っていない冬の田んぼにとって、
ミミズは、うれしいお客さんです。

ミミズ(蚯蚓)は、
環形動物門 貧毛綱に属する動物の総称。
目が無く、手足も無く、紐状の動物。
名前は「目見ず」、
または土の中に生息し、日光を見ないことから「ヒミズ(日見ず)」からきたといわれる。

ミミズは土を食べ、そこに含まれる有機物や微生物、小動物を消化吸収した上で
粒状の糞として排泄する。
土壌形成の上では、特に植物の生育に適した団粒構造の形成に大きな役割を果たしている。
そのため農業では一般に益虫として扱われ土壌改良のために利用される。 
進化論で有名なチャールズ・ダーウィンは、晩年ミミズの研究も行っている。
ミミズの土壌形成に果たす役割を最初に指摘したのも彼だった。
晩年の著書に「ミミズと土」(1881年)がある。 参照HP / Wikipedia フリー百科辞典

というわけで、ダーウィンさんにも御墨付きのミミズなのであります。

人間の暮らしのなかでも生ゴミ処理のひとつとして、
ミミズコンポストが奨励され始めている。
ミミズは、上記のように有機物が堆肥化する過程で経る発酵・分解を体内で完結させる。
ミミズ糞は無機物で、ふかふかな団粒構造の土となっている。
すごいゾ、ミミズ! 人間の出したもの(ゴミ)がちゃんと土に還るって心地よい。

で、田んぼとミミズの話。
ミミズのなかまは田んぼ土を耕すだけでなく、
土に穴を開けていくことで雑草の種を土中に埋め込んでいる
(=芽を出しづらくするということ)。
さらに、ミミズを餌にふえるメダカや鳥のふんは、稲の良質の養分になる。


農薬、除草剤、化学肥料を使った畑や田んぼにはほとんどの生き物、
そしてミミズも生きることができない。
土が固まっているところにもミミズは住めない。
ゆえにミミズがいるということは「いい土」のひとつの指標。
生き物が生息できない畑の野菜や田んぼの稲は、人にとっても良くないことは明らかです。

そうして、「大地の虫」ミミズは、「自然のクワ」ともなって土を耕す。
田んぼの土が肥えればミミズが出る。ミミズが出れば、田んぼの土はもっと肥えてく。
ミミズは土に穴をあける。ミミズを目当てにモグラが来てこれまた穴をあける。
棚田ではこうした小さな穴が下の田んぼへと水がゆっくり流れる役割をするのだそうです。

ところで、ミミズ(この写真にあるミミズ)は水の中では生活できないようです。
水辺の周りの少し湿った場所(田んぼの畔等)を住みかにするとのことです。
冬の田んぼを「自然のクワ」で耕してもらったら、畦に避難してくれるといいな。
モグラが穴を開けたなら、人が畦塗りをすればよし。
「大地の虫」「自然のクワ」分解者ミミズといられる田んぼでありたいものです。
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by tutinokai | 2006-02-12 15:55 | いのちの環

紅葉(もみじ)のひと葉

d0021152_2271737.jpg冬の田に、
はらはらと風に吹かれて
降りたった
紅葉がひと葉。

その葉の紅に心ひかれて
ふと、
田のまわりを見上げれば...


ここは谷戸の田。木々に囲まれた里山(谷戸)。
緩やかな棚田になっています。
田の両脇に湧き水からの小川が流れ、田にひかれています。

ン十年前、ここはまだ公園になる前で、
長く休耕田だったそう。当時の減反政策もあるのでしょう。
(子どもの頃の私の探検場所でもありました)

こつこつと開墾をされ、多くの人々の手によって、
今の谷戸の風景があります。
この4番田んぼの小川の向こうには、
このモミジの木があったり、ウメの木があったりします。
きっと、鍬をふるって田んぼの作業をして、
腰をおこしたときに視界に入る、ご褒美の木です。
「ああ、きれいだな」って。

他にはきっと、田んぼや小川、湿地を好む木々が在るのだと思います。
昔、田んぼの近くにはハンノキを植えたのだそうです。
ハンノキのまっすぐ伸びる特性を利用して、
秋の稲刈りのあと、ハンノキに竹を渡して稲架(はざ)とするために。
ここにもハンノキありました♪

田んぼからみつめる、その木々と人との関係や、
こうやって田んぼに降りたった紅葉のひと葉から
なぜここに在るのかを思いを巡らせるのも、面白い。
そしてこの紅葉のひと葉も、
やがては朽ちて田んぼのひとつになっていきます。
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by tutinokai | 2005-12-04 14:47 | いのちの環