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人と田んぼ

「いのちの環」は、田んぼを巡る人のいとなみと、
生き物と植物のつながりをみつめてきましたが、
今回は、
人と田んぼ(お米)との環を。本のなかにあった面白い文章をご紹介。

私たちは誰もが苗字を持っています。
「苗字」...苗。イネの苗。
イネの苗が分かれて増えていくように、
子孫もどんどん増えて栄えていきますように。
そんな祈りが込められている「苗字」。
親戚同士でグループを作り、力を合わせる「結い」のしごと、稲作。
このグループ名が苗字というルーツといわれる。

日本人の苗字に最も多く使われている漢字は「田」
田んぼの位置を表すという苗字も多い。
前にある田んぼ「前田」 横にある田んぼ「横田」
山から流れ出る水の流れにそって順番に
一番上の田んぼ「上田」「山田」 真ん中は「中田」
下の田んぼは「下田」「平田」 高い田んぼは「高田」
川のそばは「川田」 ひらけた田んぼは「原田」
大きな田んぼは「大田」 小さな田んぼは「小田」
葦が生えている湿地の田んぼは「吉田」
やや小高くなった場所をクロといい「黒田」
他にも「竹田」「和田」「池田」「村田」「沼田」「飯田」「田辺」...
知人のなかに一人はきっといる「田」のつくお名前。
田んぼがそれだけ、身近なものだったのだなあと思いはせます。

ちなみに「鈴木」も、
稲刈りが終わりワラを積んだ穂積に来年の豊作を祈り木
(=聖なる木「鈴木」)を立てたことから。

d0021152_2050855.jpg日本人の主食として選んだ、米。
遥か縄文の時代から、
食べられてきた。
日本の気候も
稲作に合っている。

その
栄養価の高さ

d0021152_2134973.jpg収穫量の高さ
(一粒の種子から
 700〜800粒のお米がとれる)
貯蔵のしやすさ
調理のしやすさ
(他の穀類は硬く粉にするけど、
 米だけはそのまま食べられる)
そして、おいしい。


d0021152_23303896.jpg私たちの名前しかり、
長い歴史のなかで日本人は
稲作を続けてきました。
米作りは
大変手間のかかるもの。
だからこそ、多くの人が
協力をすることが必要。
こういった稲作の中で、
d0021152_23344565.jpg協調性や勤勉性、
忍耐強さに富み、
一方では画一性や閉鎖性と
批判もされる日本人の国民性が
培われてきたと
いわれています。
 参照文献:
「田んぼの教室」家の光協会

d0021152_23492229.jpgそうかもなあ〜って思います。
不思議なのは、子どもの頃から
アスファルトに囲まれた
暮らしをしてきた私でも、
「なつかしい」と感じる
この舞岡の谷戸の風景。
その中心には田んぼがあって。


日本人のDNAのなかに、大切なものが受け継がれている。残ってる。
そんなふうに思ったりするのでした。
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by tutinokai | 2005-11-23 16:28 | いのちの環

ムクノキ改め、エノキ日記

d0021152_2154327.jpg11月3日、
色づき始めた
ムクノキ改めエノキ君。
ひきつづき、観察日記。
私たちの植えた木ということに
変わりはありません。

アカボシゴマダラの
サナギの抜け殻、
数個みつけました。
d0021152_22234556.jpg
光り射す方へ
エノキの葉っぱと幼虫。
キレイな景色。

もし、エノキじゃなかったら
こうして逢えませんでした。
小さないのちと、この景色。
(けど、
アカボシゴマダラちと問題)


d0021152_22274913.jpg11月23日、
だいぶ茶色に染まった葉っぱ。
一日、一日の積み重ね。
大きな変化が起きています。
エノキの若木が、
春夏秋を越えて、そして今。
若葉、紅葉、そして落葉。
枯れてこの葉は根元に落ちて、
腐り、自らの根に栄養を。


d0021152_2228312.jpgアカボシゴマダラの幼虫も
エノキの葉色に合わせたように
ほんのり茶色に変化していて。
葉と一緒に地面に落ちて、
葉の裏で寒い冬を越す。

エノキも幼虫も
これから来る冬への支度。

よーけー、うまくできている。
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by tutinokai | 2005-11-23 13:54 | ムクノキ&エノキ日記

生きるための死に方

d0021152_017983.jpg
それはショッキングなものでありました。
なんだか、
じっとみていました。
あるトンボの死なのですが...




「生きるための死に方」「死ぬための生き方」...
そんなタイトルの2冊の本を読んだことがあります。
「死」というものはとてもこわいことで辛いことで悲しいこと。
と、どうしても思ってしまいます。それでいいとも思います。
けど、それは誰しもが避けて通れない道。
それは生きとし生けるものすべてのものにあるもの。

この田んぼのなかで、強き者が弱き者を食べること、
食物連鎖の端々をみてきました。
食物連鎖の頂点に立つ人間は、時に、その環を意識できないくらい
傲慢でもあるけれども、その環を感じ、守ろうとすることもできる。
そう思って行動をとれる、そう在りたいものです。

小さな生き物から始まる連鎖の恩恵を受けてお米は実る。
そうして、たくさんのいのちをいただいている。

このトンボは、力尽きて水に落ちてしまったのかもしれないし、
思いがけず、そうなってしまったのかもしれない。
このトンボは、きっと微生物によって分解され、土へと還る。
そしてまた、稲がそれを受け継いでゆく。
生死混じり合う田んぼの一幕をみた気がしました。
人間である私は、このトンボに感謝をするしかありません。

すべてがつながっている。そんな壮大な想いへと続く、
田んぼって、いのちのみなもとなんだなあ。ああ、田んぼって 奥深い...
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by tutinokai | 2005-11-23 11:12 | 田んぼの生物

収穫祭

d0021152_22242938.jpgかまどに薪を。
お釜にせいろを2つ重ねて。
洗って、一晩。もち米2kg。
40分。湯気がめじるし。
打ち水は、
おもちはかけない、
おこわはかける。

パチパチとたき火の匂い。

たくさんのお客さんと一年の恵みに感謝を。
たくさんの縁に感謝を。

d0021152_22534878.jpg杵と臼。
捏ねるさいしょは手早く、
力をこめて。
突き手一回、添える手一回。

ぺったん、
 ぺったん、
  ぺったん。


d0021152_22595136.jpg収穫祭メニューは、
きなこ、あんころ、
からみもち。

大盛況に、心まんぷく。
おいしいね。
ああ、しあわせ。

自然に感謝。

米作りや、畑での野菜、雑木林、自然観察、藁細工などの工芸...
日頃舞岡公園で行われていること。
舞岡公園小谷戸の里の、年に一度の収穫祭は11月23日の祝日。
収穫祭は一年の実りに感謝して愉しむ一日。
お餅つきを始め、黒米のお結びや、お野菜たっぷり谷戸鍋、焼き芋...
つる細工、丸太切り、くるみ割りリスさん体験などなど。

舞岡公園にゴミ箱はありません。大勢の人が訪れる収穫祭でも同じこと。
みなさん、おはしとおわん持参です。
また水源を抱く小谷戸の里。食材は持ち込み原則不可。
鍋等を洗い、廃水となる時に油分等を出さないという配慮です。
ひとりひとりがそれを当たり前のこととして、集うお祭りの一日です。
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by tutinokai | 2005-11-23 10:53 | 田んぼ通信

ジュズダマ、ズズコ、トウムギ、ヨブの涙...

ジュズダマ(数珠玉) イネ科 ジュズダマ属
別名/ズズコ(数珠子)、トウムギ(唐麦)、タマズシ、スズコ... 
古名/ツシダマ
調べれば、調べたぶんだけ、たくさんの名前がありました。
各々の此処で、その植物に関わる人びとがその名前をつけました。

d0021152_22182831.jpg*「ジュズダマ」解体新書*
イネ科の多年草。
花期 8月〜11月。
高さ80〜150cm。
田の畦や川岸などに生える。
実の色は、灰色、茶色、黒など。
光沢がある硬い骨質の実(種子)。
熱帯アジア原産。
日本には、古い時代に、
稲の伝播とともに食用作物として
渡来し、各地で帰化した。
栽培変種にハトムギがある。

名前は、果実を包んでいる苞鞘(ほうしょう)が堅く、
数珠(じゅず)に似ていることから。
学名は、Coix lacryma-jobi(ラテン語/コイクス・ラクリマヨビ)=ヨブの涙
英名は、「Job's tears」
ヨブ記(聖書に登場する苦難のお人、ヨブ)16章20節に、
「私のために執り成す方、私の友、神を仰いで私の目は涙を流す」
とあり、そこから付けられた名前だといわれる。

雌雄同株で、初秋に小穂をつける。
上部の葉鞘(ようしょう)から柄が伸びて穂状花序を1〜6個生じ、
雌性花穂は卵形をした長さ0.8〜1cmの苞の中に、
雄性花穂は苞を貫いて先端につく。
葉はトウモロコシに似て互生し、長さ30〜60cm、
幅1.5〜4cm、葉形は狭長被針形。葉の先端は尖鋭頭。
縁がざらついている。葉の下部は鞘となって茎を包む。

↑専門的な文章を読み解くと、よりジュズダマがみえてきます...
葉の形、葉先、葉身、葉縁、葉脈...
♪もともと特別なオンリーワン の、
ジュズダマの個性がみえてきました。

難しいことはここまで。
ジュズダマといえば、
実をとって糸を通して、数珠のようにつないだ子ども頃の記憶。
腕輪や首かざり。お手玉あそび。女の子には、はにかむよな記憶です。

ジュズダマは他に、薬効もありました。
その根は、漢方で、川穀根(せんこくこん)といい、
種子は、生薬のよく苡仁(よくいにん)の代用にします。
成分にコイクセラノイドが含まれ、腫瘍抑制作用があるされる。
煎じていただく。
健胃、解熱、利尿、解毒の効果があり、
慢性胃腸病、潰瘍、下痢、リウマチ、神経痛、肩こり等に効くとされる。

昔から、人びとに親しまれてきたジュズダマ。
痛みを和らげる民間薬。
植物と人との関係。...奥深い。
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by tutinokai | 2005-11-03 14:17 | 田んぼの植物

雑木林から 11/3

d0021152_22432134.jpg
ミズキの木
緑の葉のなかに黄色の葉が
ぽつぽつみられるように
なってきました。

刈田に稲孫の緑がみえます。


d0021152_22501162.jpg
赤、黄
色づきはじめる里山です。
 楓蔦黄なり
(かえでつた、きなり)
紅葉間近の冬が始まる
立冬のころ
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by tutinokai | 2005-11-03 13:42 | 谷戸歳時記

こんぺいとうとキツネ

d0021152_23512726.jpg11月の田んぼの畦。
ピンクのこんぺいとうの
小さな花が咲いています。

春、夏、秋と畦の植物を
みてきましたが、
野の花の可憐な美しさに
心たおやかになります。


このこんぺいとうの花の名は、「アキノウナギツカミ(秋の鰻攫み)」。
どっきりなお名前。
茎、葉に逆向きのトゲがあり、
この草を使うとウナギもつかめる(でしょ?)、ということからついた名。

d0021152_23592813.jpg
タデ科。一年草。
8月〜10月頃、湿地に咲く。
草丈は20〜100cm。
別名、「アキノウナギヅル」。

写真は、つぼみです。



そばによく似た花が咲いています。

d0021152_12492317.jpgこちらは、
「ミゾソバ(溝蕎麦)」。
こちらも、
タデ科の一年草。
8月〜10月頃、
溝など水辺に咲く。
高さ40㎝。
葉が三角形で蕎麦に似ている。


アキノウナギツカミとミゾソバ。秋に咲く、こんぺいとう2つ。
春のタガラシとキツネノボタンみたいです。

d0021152_12493890.jpgちがいをみるのは、葉っぱ。
ミゾソバの葉っぱは、
”にっこりキツネ”

別名は、葉の形から
「ウシノヒタイ」。

私は、にっこりキツネと命名。


葉っぱのカタチがこうして違うのと、
アキノウナギツカミの方が、花は濃い赤色です。
もうひとつ、「ママコノシリヌグイ」という似た花もあるようです。
(こちらもどっきりなお名前...)

ミゾソバは、水辺に群落をつくっていくそうです。
次の秋には、いっぱいのにっこりキツネとこんぺいと。
星屑を散りばめたように咲くでしょう。
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by tutinokai | 2005-11-03 10:50 | 田んぼの植物

脱穀

d0021152_339345.jpg稲架にかけた稲穂、
風に吹かれて
脱穀の時を迎えます。
リヤカーに積まれていく稲穂。
稔りの笑顔。

雨ふり晴れて、
いよいよの脱穀です。

d0021152_3384275.jpg足踏みの脱殼機。
ペダルをリズムよく踏んで、
稲束をしっかり持って、
先の稲をはずしていきます。
機械が回転する大きな音。

ケースのなかにいっぱいに
なっていく稲穂(花序)。

d0021152_3373791.jpg2段階でふるいにかけます。

これが、大変な作業なのです。
機械ならきっと
あっという間の作業ですが、
こちらは手作業。
たくさんの人の手で
茎や穂軸をはずしていきます。


みんなの話し声、笑いとともに作業がすすみます。
「結い」の作業がここにもありました。

d0021152_3363234.jpg唐簑(とうみ)という
昔ながらの機械。
隙間を調節し、
籾が落ちる時に
ハンドルを回して
風を起こす。
弱すぎず、強すぎず
風を起こすもの技。


d0021152_3352434.jpg軽い米、重い米がわけられる。
軽い籾は、
すなわち中身が入っていない
ということ。

ほんにまあ、
昔の人が作った機械。
よくできています。
ステキです。

d0021152_3325472.jpg
脱穀をおえた籾を12キロずつ袋詰め。
総量93キロ。
126㎡の
4番田んぼからの恵み。
米俵一つとはんぶん。

みなさんお疲れした!

d0021152_3405960.jpgそして稲穂をはずした藁は、
束ねてゆきます。
藁は様々なことに
利用されます。
畑で苗を守るマルチ、
草履や蓑かさなどの藁細工...
案山子も♪
余すところはありません!

〜余談のお米話〜
精米まえですけれど(もち米なんだけど)、
一回に食べるお米の量が「一合」とすると、一日三食で三合です。
昔の暦では一年が360日だったので、三合×360日で、1080合。
一人の人が一年に食べるお米の量が「一石」 一石は約150キロ。 
昔の人は現代の2.5倍のお米を食べた。(現代人は年間60キロということ)
(一俵は60キロ。一年間に米俵ひとつ食べているということ)

そして、一石がとれる面積が「一反」
(現代では一反で500キロのお米がとれるそうです。当時の3倍以上!)
一反は300坪。昔は一反360坪でした。
だから一坪は一人が一日に食べるお米がとれる面積を一坪という。
お米一石(一年に食べる量)を買える金額が「一両」
お米からの単位いろいろ。
昔から生活に密着したものだったということがわかります。
  参照文献:「田んぼの教室」家の光協会

ちなみに日本の食料自給率。お米は100%です。
(他全体の日本の食料自給率は40%。)
毎日食べている食料のほとんどを外国からの輸入に頼っている。
輸入した食料の1/3をそのまま食べ残し=捨てているという現実。
多くの国で、日本のために食糧が作られている。
その作っている人は、安い賃金でその地主に雇われ、重労働をしている。
その人たちの多くの人たちはその作物を食べることはできない。


d0021152_3295246.jpg
人の手。
ひと粒、ひと粒。
もったいなくて、拾う。
ひと粒のお米の種が
80粒の実りとなる。
植物の神秘。すごいなあ。



先述の食料自給率の問題。
瑞穂の国ニッポン。
夏には青々とした田んぼを、秋には黄金色の風に揺れる稲穂を思います。
「(いのちを)いただきます」の意味を
ひとりひとりが、もっとイメージすることが必要なのだと思います。
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by tutinokai | 2005-11-03 10:33 | 田んぼ通信

刈田

d0021152_358561.jpg
稲架(はざ)に
かけられていた稲穂たち、
脱穀へと旅立ってゆきました。


d0021152_432254.jpg田んぼには刈った跡から新しい葉の緑。
稲株の横から緑の茎。
小さな実り。
「稲孫」
(「ひこばえ」又は「ひつじ」という)

一般には、
「蘖(ひこばえ)」と書き、
伐った草木の根株から出た芽
切り倒された木の株や根から
再生してくる若い芽とある。
「孫生(ひこばえ)」ともいう。

d0021152_4214918.jpg
稲の強い生命力を思います。
刈田は、
藁色でさみしいイメージも
あるけれど、
小さな緑をたくさん感じて。
なんだか感動的だなあ〜と
思うのです。

photo / 赤トンボと稲架 2005.10
d0021152_4404725.jpg
ススキとセイタカアワダチソウ。
おかえりなさいは、赤とんぼ。

巡る。巡る。
一緒に生きよう。
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by tutinokai | 2005-11-03 09:57 | 田んぼ通信